会社の制度をトコトン活用する 賢いマネープラン術 【深田晶恵】 [2011.05.31]

知らないとソン!会社員はこんな制度で守られている(3)労災保険で仕事中のケガは治療費負担ナシ! 雇用保険は失業だけでなく、スキルアップの費用サポートも


会社の制度をトコトン活用する 賢いマネープラン術(6)
深田晶恵 ふかたあきえ
ファイナンシャルプランナー、(株)生活設計塾クルー取締役

前回まで、健康保険と厚生年金の保障内容をチェックしてきました。こうした社会保障によって思った以上に手厚い保障を得られていることを知り、「病気になったり、障害を負ってしまったりしたらどうなるのだろう……」といった漠然とした不安が和らいだ方もいるのではないでしょうか。
いざというときに頼りになる公的保障は、ほかにもまだあります。今回は引き続き、労災保険と雇用保険について押さえておくべきポイントを見ていきましょう。

■労災保険の適用を受けられると治療費の自己負担はゼロ

労災保険とは、仕事中や通勤中に事故などに遭った会社員が、治療にかかる費用の補償を受けられる制度。申請して労災事故と労働基準監督署長に認められれば、治療費は健康保険ではなく労災保険から支払われることになります。健康保険では3割の自己負担がありますが、労災保険が適用されれば自己負担はありません。

実は私自身、外資系メーカーに勤めていたころに労災保険のお世話になった経験があります。出張先で取引先の方と昼食を取った際、座敷で足がしびれてしまって、立ち上がろうとしたときに足をくじいてしまったのです。病院に行き、聞かれるままにケガをした状況を説明したところ「労災扱いですから、健康保険は使えません」とのこと。治療費やサポーター代など総額2万円近くをいったん窓口で支払いましたが、病院で受け取った書類を会社に提出することで全額返金してもらうことができました。

大ケガをした場合など、治療が長引けば支出が増えて経済的負担が重くなることも考えられますから、労災保険が適用されるかどうかは重要なポイントといえます。注意が必要なのは、仕事中のケガなのかどうか会社と見解が分かれるケースがあることです。明らかに勤務中のケガである場合も、すぐ同僚に伝えるなど、“証人”になってくれる人を確保しておくと安心でしょう。

また、通勤中については「合理的な経路及び方法で往復すること」という基準があることに注意が必要です。帰宅途中、日用品を買いにスーパーに寄る程度なら問題ありませんが、「退勤後に飲み会に参加し、酔って転んでケガをした」といった場合は認められない可能性があることを知っておきたいところです。

■雇用保険は失業だけでなく、スキルアップの費用もサポートしてくれる

雇用保険の保障としてよく知られているのは、失業したときに“失業手当”がもらえることでしょう。“失業手当”は、正しくは雇用保険の「失業等給付」の基本手当と呼びます。職を失った際に手当が出るのは、会社員ならではの保障といえます。個人事業主や企業の取締役などの役員は雇用保険には加入できませんから、フリーランスで働く人や起業した人などは、仕事がなくても何の保障もないのです。

いざ会社を辞めて失業等給付を受給する場合は、会社から受け取る「離職票」の内容をチェックしましょう。離職票には離職理由が記載されており、会社の都合で辞めたと書かれている場合は7日間の待期期間後にすぐ受給できますが、自己都合で辞めたと記載されていれば3カ月間の受給制限期間が設けられることになっています。
※待期期間・・・離職票の提出と求職の申込みを行った日(受給資格決定日)から通算して7日間は基本手当を受給できない決まりになっています。

なお、基本手当を受給できる日数は、下記の要件に基づいて90日~360日の間でそれぞれ決められます。

①離職した日における年齢
②雇用保険の被保険者であった期間
③離職の理由

また、受給できる1日当たりの金額は、勤務していた会社から得ていた給料の水準によって変わってきます(原則として離職した日の直前の6カ月間の給与(賞与等は除く)の合計÷180で算出した金額(賃金日額)のおよそ50~80%)となっています。ただし、30歳未満6145円、30歳以上45歳未満6825円などと上限額が定められています。

ところが、リストラが実施された場合など、会社の都合で退職を余儀なくされたのにもかかわらず、離職票に「自己都合」と記載されてしまうケースがあります。このような場合は、雇用保険の窓口であるハローワークで手続きをする際、会社都合としてすぐに失業等給付を受給できるようハローワークの担当者と交渉することも可能です。交渉をスムーズに進められるよう、「いつ」「だれに」「どのように」退職を勧められたか等、メモを取っておくとよいでしょう。

自己都合で会社を辞めたのか、リストラで辞めざるを得なかったのか離職理由によって基本手当の受給できる日数に大きな差が出てきます。
例えば、30歳以上35歳未満で、勤務していた期間が10年以上20年未満の方の場合、基本手当の受給できる日数は自己都合退職では120日ですが、リストラの場合は210日になります。
受給できる1日当たりの金額が5000円だとすると、受給できる額は45万円もの差が出てきます。

自己都合退職 5000円×120日=60万円
リストラ 5000円×210日=105万円

105万円60万円=45万円

また、雇用保険には「教育訓練給付」というスキルアップの費用サポート制度もあります。給付は縮小傾向にありますが、一定の条件を満たした在職者や離職者が厚生労働大臣の指定を受けた講座を修了すると、費用の一部がハローワークから支給されます。興味のある方は最新の情報を厚生労働省のサイト(http://www.mhlw.go.jp/kyujin/kyoiku/index.html)でチェックしてみてはいかがでしょうか。

深田晶恵(ふかたあきえ)Profile
ファイナンシャルプランナー、(株)生活設計塾クルー取締役
CFP認定者 1級FP技能士
1967年北海道生まれ。外資系電機メーカー、日本フィリップス(株)で8年間勤務後、1996年にファイナンシャルプランナーに転身。FP資格取得後、 実務経験を積んだ後、1998年にFPとして独り立ちする。その後、同じオフィスの仲間と特定の金融商品や保険商品の販売を行わない独立系FP会社「生活 設計塾クルー」を設立し、個人向けに住宅ローンや保障設計などマネープランのコンサルティングを行う。一般個人向けのマネーセミナーのほか、企業の従業員 や自治体職員向けのライフプランセミナー講師としても活躍。メディアを通じたマネー情報の発信にも注力しており、『住宅ローンはこうして借りなさい改訂3 版』(ダイヤモンド社)、『幸せになるお金のバイブル』(日本経済新聞出版社)など多数の著書があるほか、日本経済新聞夕刊、『日経ビジネス Associe』『日経WOMAN』などの連載も持つ。
ブログ「お金のおけいこ。」 http://www.akie-fukata.com/
Twitter  http://twitter.com/akiefukata

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