会社の制度をトコトン活用する 賢いマネープラン術 【深田晶恵】 [2011.04.28]

知らないとソン!会社員はこんな制度で守られている(2)「老後」だけでなく「死亡」や「障害」も保障する厚生年金


会社の制度をトコトン活用する 賢いマネープラン術(5)
深田晶恵 ふかたあきえ
ファイナンシャルプランナー、(株)生活設計塾クルー取締役

病気やケガ、万が一の障害や命の終わりは、いつだれにでも起こりえるものです。養っている家族、はたまた自分自身の老後について、不安を感じる方も多いことでしょう。実は、こういった不安にも、厚生年金が役に立ちます。すでに持っている保障を振り返ってから、不足分を民間の保険でまかなうのが、賢いやり方です。

■厚生年金保険料を振り返ってみよう

「病気やケガをしたらどうしよう」「障害を負って働けなくなったら?」「万が一、自分が死亡したら家族の生活はどうなってしまうのか」「老後の生活が心配」……。
このような不安に対する備えとして、民間の生命保険や医療保険、介護保険、年金保険などに加入を検討する方は少なくありません。しかし、民間の保険を上手に使いこなすには、まずこれらの不安に対してどのような公的保障があるのかを知っておく必要があります。「すでに持っている保障」を押さえなければ、民間の保険で備えるべき「不足している保障」がどれくらいなのかを検討することはできないからです。前回は、病気やケガの際に健康保険がどれくらい頼りになるのか、その“底力”をご説明しました。今回は引き続き、厚生年金について見ていきましょう。

民間企業にお勤めの方は、毎月の給与やボーナスから厚生年金保険料を支払っています。一度、給与明細の控除項目をチェックし、ご自身の厚生年金保険料がどれくらいなのかを確かめてみてください。

ここで注意しなければならないのは、厚生年金保険料が原則として「労使折半」で、会社が少なくとも5割を負担しているということ。福利厚生が充実している企業では会社負担を6~7割としているケースもあります。

たとえば下図の給与明細では厚生年金保険料が「2万2064円」と記載されていますが、会社が5割を負担している場合、毎月の厚生年金保険料は4万4128円ということになります。いかがでしょう、「思った以上に、保険料を支払っているんだな」と感じる方が少なくないのではないでしょうか。

これだけの額を支払っているとなると、保障の中身が気になりますよね。みなさんは、「老齢年金」についてはよくご存じでしょう。
これは老後に生活設計のベースとして受け取る年金のこと。しかし実は、厚生年金の保障はこれだけではありません。加入者が死亡した場合、要件を満たした遺族 は「遺族年金」を受け取れますし、障害を負った場合には本人が「障害年金」を受給することができます。つまり、厚生年金には「老後」「死亡」「障害」の3つの保障があるのです。

■厚生年金の3つの保障

「老後」「死亡」「障害」の3つの保障のうち、「死亡」に当たる遺族年金について見ていきましょう。
民間企業に勤める男性のケースでは、妻の年収が850万円未満なら、夫が死亡すると妻が年間40万~50万円くらいの「遺族厚生年金」を受給できます(金額は30~40代の例 )。さらに、18歳未満の子どもがいる場合、そこに「遺族基礎年金」が上乗せされます。「遺族基礎年金」は子どもの人数によって受け取れる額が異なり、妻と子ども1人の場合で年間102万円、妻と子ども2人なら約124万円。遺族年金だけで年間140万~175万円受給できる計算です。このことを知らずに生命保険に加入すると、必要以上に高い死亡保障額を設定して無駄な保険料を支払うことになってしまいます。

遺族年金については“落とし穴”にも注意しなくてはなりません。それは、「共働きの妻が死亡した場合、夫は原則として遺族年金を受け取れない」ということ。これは、遺族年金の制度ができた当時、女性は専業主婦なのが当然で「家計を支える夫の死亡を保障すればよい」という考えがあったためです。しかし、幼い子どもを抱えて家計をともに支えてきた妻を亡くせば、夫の経済的負担は大きいはず。夫婦共働きの場合は、妻が死亡した場合の公的保障が手薄な分を、民間の生命保険で用意することを検討しましょう。

また、18歳未満の子どもがいる場合、「遺族厚生年金」 は「子どもが受給権者になる」という手があることを覚えておいてください。これはほとんど知られていない制度なのですが、申請手続きさえすれば、末の子どもが高校を卒業するまでの間、年間40万~50万円 を受給できます。

障害年金は、病気やケガで障害を負い、日常生活や仕事に支障が出た場合に受給できるものです。障害に応じて等級が決められており、収入の有無にかかわらず支給されます。「障害を負って働けなくなったらどうしよう」と考え、民間の保険に入りたいと考える方は少なくありませんが、民間の保険は支払い要件が厳しいケースが多いことに注意が必要。「条件に当てはまらず、保険金が受け取れなかった……」ということも少なくありません。この点、障害年金は保障の範囲が意外に広いことを知っておきましょう。うつなどの精神疾患のほか、末期ガン、人工透析を受けている場合、心臓にペースメーカーを入れた場合なども対象となるケースがあります。

深田晶恵(ふかたあきえ)Profile
ファイナンシャルプランナー、(株)生活設計塾クルー取締役
CFP認定者 1級FP技能士
1967年北海道生まれ。外資系電機メーカー、日本フィリップス(株)で8年間勤務後、1996年にファイナンシャルプランナーに転身。FP資格取得後、 実務経験を積んだ後、1998年にFPとして独り立ちする。その後、同じオフィスの仲間と特定の金融商品や保険商品の販売を行わない独立系FP会社「生活 設計塾クルー」を設立し、個人向けに住宅ローンや保障設計などマネープランのコンサルティングを行う。一般個人向けのマネーセミナーのほか、企業の従業員 や自治体職員向けのライフプランセミナー講師としても活躍。メディアを通じたマネー情報の発信にも注力しており、『住宅ローンはこうして借りなさい改訂3 版』(ダイヤモンド社)、『幸せになるお金のバイブル』(日本経済新聞出版社)など多数の著書があるほか、日本経済新聞夕刊、『日経ビジネス Associe』『日経WOMAN』などの連載も持つ。
ブログ「お金のおけいこ。」 http://www.akie-fukata.com/
Twitter  http://twitter.com/akiefukata

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