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使える!統計講座 【深瀬勝範】 [2011.07.28]

第20回 雇用情勢を調べる(2) ~職業安定業務統計と求人倍率~


使える!統計講座(20)

深瀬勝範 ふかせかつのり

雇用情勢の厳しさは、仕事を探している人(求職者)と従業員を募集している会社(求人数)とのバランスによって決まります。この求職者と求人数とのバランスを示す指標が「求人倍率」です。今回は、その見方について説明します。

1.求人倍率とは

「求人倍率」とは、求職者数に対する求人数の割合をいいます。求人倍率が「1」を上回っていれば、求職者1人に対して1件以上の求人があることになりますので、仕事を探している人が就職しやすい状況にあることを示します。逆に、「1」を下回っていれば、求職者に対して求人が不足している「就職難」の状況にあることを示します。

求人倍率は、厚生労働省の「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」で公表されます。これは、公共職業安定所における求人、求職、就職の状況(新規学卒者を除く)を取りまとめたもので、各月の集計結果が1カ月経過後にインターネット等を通じて発表されます。

求人倍率には、「新規求人倍率」「有効求人倍率」の2種類があります。

新規求人倍率とは、その月内に新たに受け付けた求職者数と求人数(採用予定人員)によって算出した求人倍率です。

一方、有効求人倍率とは、前月から繰り越された求職者数にその月の新規求職者数を合計した有効求職者数と、前月から繰り越された求人数にその月の新規求人数を合計した有効求人数とによって算出した求人倍率です。新規求人倍率は「その月に発生した雇用の動き」を、有効求人倍率は「その時点の雇用情勢」を示す指標といえます。

職業安定業務統計では、求人倍率以外に「就職率(新規求職申込件数に対する就職件数の割合)」や「充足率(新規求人数に対する就職件数(ただし、都道府県別のデータでは求人と求職者が結合した件数)の割合)」も表示されています。求人倍率と合わせて、これらの指標を見れば、雇用情勢を的確にとらえることができます。

なお、求人倍率のデータを使うときには、次の点に注意が必要です。

(1)求人倍率は、公共職業安定所を通さない求人や求職は集計対象にはなりません。近年、ホワイトカラー職種を中心に、民間の人材紹介会社等を通した求人、求職活動が増えていますが、求人倍率では、これらの活動を含めた雇用状況はとらえられません。

(2)求人倍率には、新規学卒者のデータは含まれていません。したがって、新卒の就職、内定状況を調べるには、別の統計データ(厚生労働省「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」等)を使わなければなりません。

2.求人倍率の推移

[図表1]は、求人件数、求職者数および有効求人倍率の推移を示したグラフです。

景気が上昇する局面では、企業が積極的な採用や退職者の抑制を行うため、求人数の増加と求職者数の減少が発生して求人倍率が上昇します。逆に景気後退局面では、企業が採用抑制や人員削減を行うため、求人数の減少と求職者数の増加が発生して求人倍率は下降します。

図表1 求人件数、求職者数および有効求人倍率の推移(クリックして拡大)

[図表1]の棒グラフを見ると、1987年から1991年までの「バブル経済」の時期には求人が増加、求職者は減していますが、バブル経済が崩壊した1992年からは求人は減少、求職者が増加しています。

2003年から2006年までは、再び求人の増加、求職者の減少が発生して、有効求人倍率は上昇しましたが、2007年には求人数が減少に転じて有効求人倍率の下降が始まり、2009年には、大幅な求人の減少、求職者の増加が発生したため、有効求人倍率は「0.47」という過去最低の数値にまで落ち込みました。これは、2008年秋のリーマン・ショックの影響を受けて、多くの日本企業が採用抑制や人員削減などのリストラを実施したためです。

2010年には求人数増加などの回復の兆しが見えるものの有効求人倍率は微増にとどまり、厳しい雇用情勢が続いていることがわかります。

3.新規求人数と有効求人倍率との関係

[図表2]は、新規求人数と有効求人倍率の月次推移をグラフ化したものです。

図表2 新規求人数と有効求人倍率の月次推移(2002年1月~2011年1月/クリックして拡大)

この図を見ると、新規求人数が変動した数カ月後に有効求人倍率にも同様の動きが現れることがわかります。景気回復局面では、まず企業の採用意欲の回復に伴い新規求人数が増加、それによって就職が進み、求職者数が減少して有効求人倍率が上昇します。逆に、景気後退局面では、まず企業の採用抑制により新規求人数が減少し、その後に人員削減が行われると求職者数も増加するので有効求人倍率が下降します。

このように雇用の動きは、まず新規求人数の増減に現れ、その後に有効求人倍率の発生が起こります。「雇用情勢に改善の兆しが見られたら転職を考えたい」と思う人、または「他社の動きを先取りした人材採用を行いたい」と考える会社は、雇用統計の中でも「新規求人数」変動に着目するべきで、「世間動向に合わせて動きたい」と考える人や会社は「有効求人倍率」の変動に着目すればよいでしょう。

内閣府では、景気の現状把握や将来予測を行うための指標として「景気動向指数」を毎月公表していますが、この作成に当たり、景気に対し先行して動く先行系列に「新規求人数」が、景気とほぼ一致して動く一致系列に「有効求人倍率」が、景気に対して遅れて動く遅行系列に「完全失業率」が、それぞれ組み込まれています。雇用の動きから景気をとらえる場合、新規求人数は「これから景気はどうなるのか」を、有効求人倍率は「今、どういう景気なのか」を、完全失業率は「過去、どのような景気だったか」を示す指標といえます。


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