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使える!統計講座 【深瀬勝範】 [2011.03.24]

第15回 賃金や労働時間の動きをみる ~毎月勤労統計調査~


使える!統計講座(15)
深瀬勝範 ふかせかつのり

新聞等で「残業時間が減っている」等の記事が掲載されることがありますが、その根拠となっているものが「毎月勤労統計調査」です。この統計データをみると、直近の賃金、労働時間、雇用の状況がつかむことができます。

1.毎月勤労統計調査とは

景気の変動に伴う企業経営の変化から、給与や残業時間、労働者数も増減します。このような賃金、労働時間、雇用の変動を明らかにすることを目的に、厚生労働省が毎月実施する調査が「毎月勤労統計調査」です。短縮形として「毎勤統計」と呼んだり、単に「毎勤」と呼ぶこともあります。

この調査は、速報性があるため、景気の動きを示すデータとして新聞等でも頻繁に取り上げられています。身近な統計データですから、みなさんも目にしたことがあるはずです。

毎月勤労統計調査で調査される項目は、次のものです。

①月間現金給与額
②月間実労働時間、出勤日数
③常用雇用、労働異動率
④パートタイム労働者比率
⑤賃金指数、労働時間指数、常用雇用指数、入離職率

毎月勤労統計調査の特徴は、時系列での変化を把握しやすくするため、指数表示がされていることです。指数表示とは、基準時(現在の統計では2005年平均)のデータで各月のデータを除して100倍したもので、基準値を100としたときの各月のデータを示したものです。

2.賃金と労働時間の動きをみる

毎月勤労統計調査を使って、実際に賃金と労働時間の動きを見てみましょう[図表1]。
まずは、データを解釈するうえで重要となる用語の理解からです。

①所定内給与・・・所定内労働時間働いた場合に支給される賃金(要するに時間外手当を含まない賃金)
②きまって支給する給与・・・時間外手当を含んだ賃金
③現金給与総額・・・賞与等まで含んだ賃金の推移
④所定内労働時間・・・就業規則で定められた始業時刻と終業時刻との間の実労働時間数
⑤所定外労働時間・・・早出,残業,臨時の呼出,休日出勤等の実労働時間数
⑥常用雇用指数・・・常用労働者とは、常時雇用する労働者を指し、1日の労働時間の長短は問わず、いわゆるパートタイマー等も含む。常用労働指数とは各月の月末の常用労働者数を基準数値(2005年平均の常用労働者数)で除して100倍したもの
⑦労働異動率・・・一定期間中に、就職、転職、退職などの労働移動を行った者(労働移動者)が常用労働者に占める比率のこと
⑧季節調整値・・・月々の変動のくせ(季節的要因)を除去したことを推計した値

賃金指数は、2000年ごろまで上昇傾向にありました。ところが2000年以降は横ばいになり、2009年には下降しています。特に賞与を含んだ「現金給与総額」は、2009年に大きく落ち込んだことが分かります。これはリーマン・ショック後の景気悪化で企業業績の低迷したことを反映したものと考えられます。

賃金の動き

資料出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」 (常用労働者5人以上、一般労働者のデータを引用)

[図表2]は労働時間の変動を示しています。
所定内労働時間は変動幅が小さく、緩やかに減少している傾向がみられます。一方、所定外労働時間は波型に大きく変動しています。これは、所定外労働時間がその時点の企業活動の影響を強く受けるためです。2001年以降、所定外労働時間の指数は上昇傾向にありましたが、2009年には大きく下がっています。これもリーマン・ショックの影響でしょう。

労働時間の動き

資料出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」 (常用労働者5人以上、一般労働者のデータを引用)

賃金指数と労働時間指数を組み合わせてみると、2009年の「きまって支給する給与」の落ち込みは、所定外労働時間の減少によるものであることが分かります。さらに「現金給与額」の指数が「きまって支給する給与」よりも大幅な減少を示したことは、企業業績の悪化を受けて賞与も大幅に減ったためと推測できます。

毎月勤労統計調査は、賃金と労働時間のほかにも雇用の動きをみる常用雇用指数や労働異動率(入職率・離職率)も表示されています。常用雇用指数とは、常用労働者数を指数化したもの、入職(離職)率とは、前月末労働者数に対する月間の入職(離職)者の割合をいいます。

このように、毎月勤労統計調査から賃金、労働時間、雇用のそれぞれの動きがみれるため、労働市場の状況を全体的につかむことができるのです。

3.毎月勤労統計調査をみるときの注意点

毎月勤労統計調査の「現金給与総額」には賞与等の特別に支払われた給与も含まれています。したがって、「現金給与総額」のデータを月ごとにみる場合、賞与支給月である6,7月と12月は、他の月よりも金額や指数が大きく表示されていることに注意してください。

月ごとにデータの変動をみる場合、それが経済実態を反映した傾向なのか、季節的な要素によって生じる例年のパターンなのかを見分ける必要があります。(例えば、製造業の所定外労働時間は、休みが多い1月や5月に少なく、秋口から年末にかけて多いというパターンが例年みられます)。季節的に発生する傾向を取り除く調整を行ったデータを「季節調整値」といいますが、経済実態を反映した傾向をみたいときには、季節調整値のデータを使うとよいでしょう。

賃金指数(実数・季節調整済み)の比較

資料出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」(常用労働者5人以上、一般労働者、製造業のデータを引用)

賃金のデータを長期にわたり比較する場合、貨幣の価値が変わることも考慮に入れることが必要です。(例えば、現在と20年前では1万円で買えるものが異なっています)。賃金を「購買力」ベースで比較したいときには、賃金指数を消費物価指数で除した「実質賃金指数」を使います。

毎月勤労統計調査は、ある月の調査結果が翌々月中旬にはインターネット上に公表されます。人事関係者は、この調査結果をみて労働市場の状況を常に把握しておくように心掛けましょう。


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