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使える!統計講座 【深瀬勝範】 [2011.03.10]

第14回 退職金を調べる② ~退職金水準を調べる~


使える!統計講座(14)
深瀬勝範 ふかせかつのり

退職金水準は、通常、新卒者が標準的に昇格していった場合に支給される「モデル退職金」を使って調べます。ここでは、モデル退職金の算出方法とそれを使った分析の仕方について説明します。

1.給与比例方式の場合のモデル退職金

給与比例方式(退職時の給与に勤続年数別の係数を乗じる方式)で退職金を算出している場合は、まず勤続年数ごとにモデル給与(退職金算定基礎額)を算出しなければなりません。モデル給与の算出は、次のいずれかの方法により行います。

(1)給与表や過去の昇給率などに基づいて算出した理論モデル給与を使う

(2)勤続年数ごとに算出した実在者の平均給与を使う

(3)回帰分析から導き出したモデル給与を使う

具体的な算出方法については、「第11回 統計的手法を使う④」を参照してください。なお、(2)や(3)のように実在者のデータを使う場合は、あらかじめ中途入社者のデータを計算の対象から外しておきましょう。

このように算出したモデル給与に、退職金規程に基づいて勤続年数別の係数を乗じればモデル退職金を算出できます。

2.ポイント制の場合のモデル退職金の算出方法

ポイント制退職金を採用している場合は、標準昇格者を設定し、勤続年数ごとにポイントを積みあげていきます。標準昇格者の設定が難しい場合は、「8級まで昇格して定年となるパターン」「4級まで昇格して定年となるパターン」というように複数の昇格パターンを設定するとよいでしょう。

勤続年数ごとの累積ポイントを算出したら、それにポイント単価を乗じれば、モデル退職金が算出できます。

3.退職年金を一時金に換算する方法

退職金とは別に退職年金が支給される場合、あるいは、退職年金のみが導入されている場合は、退職年金を一時金に換算します。

退職年金の種類には、確定給付企業年金、適格退職年金、確定拠出年金(日本版401K)などがあります。確定給付企業年金は、年金給付額を定めて外部機関(あるいは企業年金基金)で積立を行う仕組みです。適格退職年金も、ほぼ同じ仕組みですが、これは2012年4月をもって廃止されることが決まっています。確定拠出年金は、毎月一定の掛金を会社が拠出し、それを各従業員が自分で運用する仕組みで、定年後の年金給付額は運用の結果によって変動します。確定給付企業年金や適格退職年金のように定年後に支給される年金給付額が定められているときには、その額に年金規約に示されている年金原価率(年金を一時金に換算する乗率)を乗じて、退職一時金に相当する額を算出します。

確定拠出年金の場合には、退職後に支給される年金の額は月々の掛金と運用収益を加えたものになります。そこで、掛金と退職までの年数(掛金を積み立てる期間)、及び年利(想定利回り)をエクセルで<図2>に示した関数式に入力して定年時までの積立額を算出し、これを退職一時金の見込額とします。当然のことながら、高い年利を設定すれば退職金見込額は多くなり、低くすれば少額になります。将来的に確実に見込める年利としては、10年国債の利回りや銀行の定期預金の利率などを使うとよいでしょう。

毎月の掛金1万円、積立期間38年、年利(想定利回り)2.0%の場合=FV(年利/12、積立期間×12、掛金、0)

 

=FV(2%/12、38*12、10000、0)

=-6,821,543

※この場合、退職時の見込額は682万円となる。(上記の式の場合、結果はマイナス表示される)


4.統計データとの比較による退職金水準の分析

モデル退職金を算出したら、それを統計データと比較します。統計データは、従業員500人以上の大規模な会社であれば、中央労働委員会の「退職金、年金及び定年制事情調査」を、それ以外の中小企業であれば、東京都の「中小企業の賃金・退職金事情」や労務行政研究所「退職金、年金制度調査」のデータを使うとよいでしょう。

退職金の統計データは学歴別、退職事由別に表示されているものですので、自社のモデル退職金も、それにあわせて算出することが必要です。

なお、ここで行っている退職金水準の比較は、あくまでも条件に基づく「モデル」によるもので、標準昇格の設定の仕方次第でモデル退職金の額が変わってきます。統計データと比べて自社の退職金水準が高いという結果が出たとしても、それは、モデル算出の条件設定によるものかもしれません。一般的に、モデル退職金は、実際の退職金よりも高めに算出されます。自社のモデル退職金と統計データとの比較は、退職者に実際に支払われる退職金額を見て、妥当性を確認してから行うようにしましょう。


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