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職場のメンタル危険サイン 【鈴木安名】 [2010.11.19]

人事と産業医のすれちがい(その1)―人事サイドの言い分


職場のメンタル危険サイン(9)
鈴木安名
(産業医)

大手企業の人事にメンタルヘルス対策のアドバイスをするのが、筆者の仕事の一つです。皆さん紳士的ですが、ホンネ・トークになってくると、産業医についてのグチや悩みがポロポロでてきます。
逆に、医学会などで産業医の集まると、人事への不満が止まりません。社員の安全や健康のためにチームを組むべき『二人の間』にはどうやらすれ違いがありそうです。

今回は、人事と産業医のそれぞれのグチを書きつつ、少しでもチームワークを高めるための提案をしてみます。

1.人事から産業医へのグチ

ところで会社が契約すべき産業医は、事業所の規模によって専属(常勤)非常勤(嘱託)に分けられます。

法律上、常時50名以上の社員を雇用している事業所では産業医と契約(選任)する義務があり、1カ月に1~2回出勤して業務を行います。常時1000名以上の社員を雇用する事業所には、専属すなわち常勤の産業医と契約する必要があります。

嘱託産業医か、専属産業医かで、人事からのグチも変ってきます。

①嘱託産業医へのグチの例

パターンA  「名ばかり産業医」
…月1日は出勤してもらう話なのに、忙しいことを理由に3カ月に1度しか来てくれないので、人事は相談すらできないし、はじめから当てにしていない

パターンB 「面談嫌い」
…月に1度は来てくれるが、健康診断の結果チェックだけで、社員と面談(長時間残業者の面談指導)などしてくれない。

パターンC 「メンタルヘルス嫌い」
…メンタルヘルス休業者がいるのに、『自分は、精神科は専門外』ということを理由に面談を断られた。

①嘱託産業医への対策

◆パターンAとBについて

嘱託産業医とは業務委託契約を交わしているはずです。ところが産業医の義務(業務内容)を記した契約書はなく、口約束(これも立派な契約)で契約している会社が少なくありません。

まずは契約更新ということで、契約書をかわすのがポイントです。月に何回(何時間)出勤するのか、最低限、月1回の職場巡視、長時間残業者やメンタルヘルス不調者への面談を業務内容として盛り込むべきです。

◆パターンCについて

医師が産業医になるための条件は、日本医師会認定産業医の資格をとるか、労働衛生コンサルタントの資格を取得することですが、前者がほとんどです。

前者の資格には50時間の研修が必要で、その内容には当然、メンタルヘルス対応も含まれています。そもそも産業医は治療(薬や注射)を行うのではなく、病気の予防や再発防止をするのが仕事(産業保健活動)なので、身体の病気も心の不調も対応する義務があります。

②専属産業医へのグチの例

専属産業医は、産業医だけで生計を立てていく医者なので、職場の安全や健康(産業安全保健)のプロフェッショナルといえます。そのためかグチもレベルが高くなり、ネットや雑誌でマニュアルやノウハウを示すのが難しいといえます。

パターンA 「リスクをとろうとしない」
…A社の本社人事課長が、職場復帰支援プログラムを文書で社員に渡し、確認のうえ、署名をもらうことを産業医に希望しました。なぜかというと、職場復帰での勤務軽減内容について、産業医の説明と、本人の理解が食い違い、社員が不満を持ったケースがあったからです。

ところが、『署名をさせるのは社員へのプレッシャーになる。それがストレスで病気が悪化したらだれが責任を取るのですか?』と言われ、人事は諦めたそうです。

法律上は、安全や健康の面で訴訟などのリスクを背負うのは、使用者(事業所)であって産業医ではありません。また、産業医の仕事の中身を変更するのは社員にとっては若干のストレスになります。何事も安全や健康に関する仕組みはリスクを伴います。

というよりも、医療や保健、人間の生命にかかわることは、薬や注射にせよレントゲンにせよ副作用や被爆というリスクが、小さいなりにも必ず含むものです。メリットとデメリットを天秤にかけて会社と社員へのメリットが大きければ実行したいものです。

パターンB 「健康管理室は治外法権?」
X社は社員3万人を擁する巨大企業で、健康管理部門は専属産業医を20名、常勤の保健師を23名かかえています。全社的な健康管理システムをリニューアルする企画を立案し、主だった産業医や保健師も賛成しました。

ところが、Y事業所の専属産業医からは『今のシステムで十分だ。リニューアルの必要はない』と無視されてしまいました。

②専属産業医への対策-産業医の管理職を置く

産業医の管理職を置き、産業医と保健師の指導・教育を業務にするのが解決策です。

通常は、本社の産業医で経験年数の長い人を統括産業医(健康管理室長、部長など名前は適宜決める)に昇格してもらいます。そして、ビジネスパースンと同様、管理職の産業医が部下の産業医に業務命令権を行使するという形式にするとよいでしょう。

……では、そんな人事を、産業医はどのような目で見ているのでしょうか?

次回は「産業医サイドの言い分」を取り上げます。


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