部下の仕事を“見える化”するマネジメント術【岡田充弘】 [2011.12.08]

部下のスキルを可視化して、チームワークを最適化する-部下の仕事を“見える化”するマネジメント術(5)


部下の仕事を“見える化”するマネジメント術(5)


岡田充弘
おかだみつひろ
カナリア株式会社 代表取締役

「Aくんはもっとデキるやつだと思ってたんだけどなぁ」
「彼からは仕事に対するやる気が感じられない」
こういった部下へのネガティブ評価の半分は、実はその本人の問題よりも、上司が求めるスキルと部下が保有するスキルとのアンマッチが原因だったりします。

普段よく飲みに行ったり、しばしば仕事をする間柄であっても、意外と上司は部下の具体的なスキルまでは把握できていないことが多いようです。

部下のスキルを把握していないことで生じる問題は多い

上司と部下はどれだけ親しくとも、しょせんはアカの他人です。ましてや日々一緒に生活している夫婦間でさえ知らないことがあるくらいなので、他人の間で知らないことがあるのはむしろ当然ともいえます。特に日頃の付き合いから部下の性格や考え方などは知っていたとしても、例えば「サーバーのアクセスログから訪問者の属性を割り出すことができる」といった、その人の持つ具体的なスキルまでは把握していないことが多いのです。

一方で、上司・部下間のトラブルの原因を突き詰めていくと、先述のように期待するスキルと実際のスキルとの間にギャップがある場合がほとんどです。例えば、仕事を頼むほうが期待を込めて「これくらいはできるはず」と思っていても、頼まれる側のスキルが低いと「そんなの無理ですよ」といった消極的な意見が出るばかりか、実際にミスも多く生じます。

そうなると、せっかく2人の関係が盛り上がっていたとしても、「彼は期待していたほどではなかった」「無茶な責任を押し付けといて、よくそんなこと言うよ」といった感じで徐々に険悪な関係へと変わっていきます。上司が部下のスキルを正確に把握していないことが、実に多くの失敗やトラブルを引き起こしているのです。

スキルが把握できれば、より適材を適所に

先述のように、職場におけるトラブルの多くは、上司が部下のスキルをもう少し知っていれば、うまく回避できたことが少なくありません。

例えば、部下のスキルの限界を知っておけば、無理な仕事の割り振りを減らすことができます。人は適切な仕事に就くことによって、才能を花開かせることができます。また、上司と部下との間だけでなく、部下の間でもお互いのスキルが分かれば、協力して作業がしやすくなります。

その結果、個の力が十二分に引き出されることによって、チームの力が最大化します。

一方で、多くの日本企業では、この“適材適所”という適正配置が有効に機能しているとは言い難い状況が存在します。全社的な事情があるのでしょうが、個の力や才能を抑え込んでいる場合が少なくないのです。

また、部下のスキルを把握することは、人材育成にも役立ちます。スキルの現状を踏まえて伸ばすべきところがはっきりと分かることのメリットは計り知れません。

上司は部下の「どのツールのどの機能が使える」「どの業務のどの作業までできる」といった、より詳細なスキル把握に努めるべきです。個人とチームの多くの可能性が広がるに違いありません。

部下のスキルが“まる見え”になる仕組みを作る

部下の詳細なスキルを可視化するには一体どのような方法があるのでしょうか?

その最も手軽な方法が“スキル一覧”を作ることです。スキル一覧は、各人が自ら詳細なスキルやそれまでのバックグラウンドを記載し、サーバー上でチームメンバーの誰もが参照できるようにします。

スキル一覧のイメージ(クリックすると拡大します)

保有するスキルを裏付けるものとして、業務経歴や確認者(上司や先輩)、保有資格などを記載しておきます。業務経歴は入社してからの業務経験が中心となりますが、中途社員であれば前職の経験も合わせて記載しておくと何かと役立つことでしょう。

これらスキル一覧によって、上司は課題に応じた適切な人材を、印象や感情に惑わされることなく正しく選出できるようになります。

また、スキル一覧を基に、課題に応じてチーム間で欲しい人材のリクエストを出し合えば、社外に頼らずとも適切な人材を素早く集めることができるようになります。

また、個人にとってはスキルや業務経歴の棚卸しにもなり、自身の市場価値が明確になることから、その先のキャリアを検討するのにも役立つことでしょう。

人物の持っているスキルは、日常業務の中では隠れてなかなか見えにくいですが、可視化することで、組織全体のパワーを向上させる意味で計り知れないメリットをもたらすのです。

Profile
岡田充弘 おかだみつひろ
カナリア株式会社 代表取締役
日本電信電話、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングを経て、カナリアの前身である甲南エレクトロニクスにマネージングディレクターとして参画。事業再編、ブランド構築、プロセス改革、ワークスタイル改革、オフィス改革など、短期間に多くの改革を断行し、創業以来最高の業績を達成。その後も2ケタ営業利益率を連続達成し、製造業屈指の高収益企業へと導く。
カナリアへの商号変更と同時に代表取締役に就任し、リモート撮影装置のトップメーカーとして世界進出を目指す。
その他、企業再生の経験をもとに、インターネットを活用した中小企業への経営指導や、チーム・個人の知的生産性の向上をテーマとした講演・執筆活動を精力的に行っている。
■Web:http://www.canaria-net.co.jp/
■Blog:http://ameblo.jp/konanele/
■Twitter:http://twitter.com/Mitsuhiro_Okada
■Mail:okada@canaria-net.co.jp

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