部下の仕事を“見える化”するマネジメント術【岡田充弘】 [2011.10.27]

小さな成果に気づかぬ上司がチームをダメにする-部下の仕事を“見える化”するマネジメント術(2)


部下の仕事を“見える化”するマネジメント術(2)

岡田充弘 おかだみつひろ
カナリア株式会社 代表取締役

「成果主義」―この言葉が人事の世界で広く聞かれるようになってから、もう随分時間がたちますが、いまなお多くの企業で用いられる古くて新しい評価ポリシーです。一方で、働きを成果で評価すること自体に異論はないと思いますが、上司は本当に部下の成果が見えているのか疑問に思うのもまた事実。
実際、チームの仕事では個人の成果がよく見えなかったり、数字に表れにくい貢献をどう評価したらいいのか? といった上司の声をよく耳にします。
原因はいろいろ考えられますが、その一つとして上司が大きな成果ばかりに目が奪われ、日常の小さな成果を見落としがちであることが、挙げられるのではないでしょうか?

大きな成果に気をとられて、小さな成果を見落としている

現実の世界では、300万円の営業成績よりも1億円の営業成績のほうが評価されることが多いでしょう。しかし、大きな成果はそう簡単に上げられるものではありません。能力があってもさまざまな要因で成果につながりにくい場合もあります。能力が成果に結びつく途上段階にある人もいます。縁の下の力持ちの存在が必要な場合も少なくありません。
そんな状況下で、もし上司が大きな成果ばかりに注目していると、自然と部下を評価する機会が少なくなってしまい、モチベーションを維持させるのが難しくなってしまいます。毎日数字に追われる上司は、そういったことを気遣う余裕がないのは分かります。
しかし、部下の多くは心の中で「事務作業の改善によって、いつもより30分の時間短縮ができた」といった“小さな成果”をもっと評価してほしいと思っているのです。実際に、小さな成果の積み重ねが大きな成果につながることも少なくありません。
小さな成果に目もくれないようでは、部下を動機づけたり、成長実感を味わわせたりすることは難しくなります。上司はもっと部下の“小さな成果”に目を向けてみてはいかがでしょうか?

「プロセスか」「結果か」という議論の間違い

成果の大小と同様に、よくある間違いが、成果を「プロセスで見るか」「結果で見るか」という議論です。

実際、結果しか見ないと、部下は短期的もしくは派手な結果ばかりを狙うようになるでしょう。逆にプロセスしか見なくなると、今度は結果が出なくても仕方がないといった、手ぬるい雰囲気がチームに蔓延してしまう恐れも否めません。

結論として、上司が着目すべきは、プロセス(行動事実)だけでもなく、結果(数値結果)だけでもなく、その両方なのです。どちらか片方ではいけません。

正しいプロセスを続けていれば、いずれ正しい結果に結びつき、結果として成果を出し続けられる――それが正しいプロセスであるといえるでしょう。つまり、プロセスと結果は一連のものであり、等しく価値があるのです。

これらをいかに見逃さないかが上司の腕の見せどころです。
とはいえ、それを上司の属人的な観察能力に頼っていては安定性に欠け、誰が見ても同じく見抜ける再現性のあるものにはなりません。できれば可視化の仕組みを作って、誰でも同じ情報として把握できるようにしておかなければなりません。

期待する行動や指標を決めて成果を可視化する

部下の成果を可視化するためには、まず期待する行動や指標を決めておく必要があります。

これらは企業文化や組織目標と整合性が取れていなければいけません。

例えば、その会社が、企業文化でチームワークを大切にしているのであれば、その人が具体的にどのような利他行動をとったか、組織目標に生産性の向上が掲げられているのであれば業務の効率化によってどれだけ時間短縮を実現したか、といった具合です。

それらの行動や指標を、あらかじめ一覧などに明文化しておきます。そして、「日常の言動を観察する」「達成した数字を見る」「成果物の品質をチェックする」「第三者の評価を聞く」等の方法で得た事実情報を、一覧の該当箇所に記録していきます。

なお、よい行動や結果が見られれば、その都度さりげなく部下を褒めることもお忘れなく。部下のほうも「ちゃんと見てくれている」といった安心感を得ることによって、ますます小さな取り組みに対して積極的になり、よい循環が生まれてくることでしょう。

これらはビジネスシーンで有効な方法ですが、友人や家庭との間でも同様です。ぜひ周りの人に関心を持って、小さな成果をもっと褒めてあげてください。きっと良好な人間関係が育まれるはずです。

Profile
岡田充弘 おかだみつひろ
カナリア株式会社 代表取締役
日本電信電話、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングを経て、カナリアの前身である甲南エレクトロニクスにマネージングディレクターとして参画。事業再編、ブランド構築、プロセス改革、ワークスタイル改革、オフィス改革など、短期間に多くの改革を断行し、創業以来最高の業績を達成。その後も2ケタ営業利益率を連続達成し、製造業屈指の高収益企業へと導く。
カナリアへの商号変更と同時に代表取締役に就任し、リモート撮影装置のトップメーカーとして世界進出を目指す。
その他、企業再生の経験をもとに、インターネットを活用した中小企業への経営指導や、チーム・個人の知的生産性の向上をテーマとした講演・執筆活動を精力的に行っている。
■Web:http://www.canaria-net.co.jp/
■Blog:http://ameblo.jp/konanele/
■Twitter:http://twitter.com/Mitsuhiro_Okada
■Mail:okada@canaria-net.co.jp

禁無断転載
▲ ページの先頭に戻る

ログイン

  • ログイン

人事・労務に役立つ商品・サービス検索

  • カテゴリとジャンルから検索

検索

注目商品ランキング 新着商品