部下の仕事を“見える化”するマネジメント術【岡田充弘】 [2011.10.13]

【新連載】恐怖! 知らないうちにあなたの部下は疲弊している-部下の仕事を“見える化”するマネジメント術(1)


【新連載】
部下の仕事を“見える化”するマネジメント術(1


岡田充弘
おかだみつひろ
カナリア株式会社 代表取締役

入社したころの社員があれほど生気に満ちあふれていたのに、2、3年もすると仕事のパフォーマンスも落ちてきて、最近はなんだか表情にかつての輝きがない、といった光景を見かけたことはありませんか?
これは部下の処理能力に対して上司が求める仕事量が多すぎたり、慢性的な残業体質のある職場で見られる光景です。そういった部下の上司は、この“オーバーワーク”の状況に気がついているのでしょうか?

ほとんどの上司は部下のオーバーワークに気づいていない

私は、前職のコンサルティングの仕事を通じて、多くの職場を見てきましたが、実際のところ、上司は部下のオーバーワークになかなか気づいていないことが多いようです。

かくいう私も、かつてはそういった上司の一人だったかもしれません。では、一体なぜ上司は部下のオーバーワークに気づかないのでしょうか?

私は、その原因の一つに昨今の急激な仕事のデジタル化があると思っています。ITを使った知的労働が、それまでになかった新たな仕事を生み、仕事の本質を見えづらくしてしまっている側面は否めないでしょう。また、業務とあまり関係のないネットサーフィンやツールの操作方法の習得、ITトラブルへの対応など、いつの間にかIT周りの事柄に多くの時間を奪われてしまったことが、皆さんにも経験としてあるのではないでしょうか。

こう書くとなんだかITを使った知的労働が悪いことのように聞こえますが、そうではありません。むしろ私はITに対する正しい理解とリテラシーをもっともっと高めていってもらいたいと思っているのです。

しかし、知的労働による頭や心の疲れは、肉体労働による体の疲れと違い、自分でも、ましてや他人にとっては非常に分かりにくい、ということを私たちは理解しなければなりません。

オーバーワークは仕事の品質やモラール(士気)の低下を引き起こす

オーバーワークが蔓延してくると、自然と仕事の品質やモラールが下がってきます。例えば、長時間労働が常態化すると当然ミスも発生しやすくなります。また、逆に時間が無限にあるような働き方をしていれば自然と生産性も落ちてくることでしょう。

一度そうなると、仕事はやるものから、やらされるものへと変わってしまい、ひいてはチーム全体のモラールの低下を招きます。これでは、賃金は報酬(=報いるもの)ではなく、賠償(=償われるもの)というようにその意義が変容していきます。そのようなチームからは、自発的な改善や創造は生まれてこないでしょう。

ちなみに、かつて弊社でも、土曜日は隔週出勤で、平日の夜も遅くまで働く人がいました。まさに先に述べたような現象が起きていたのです。

今では規則化しなくても夜7時にはみな退社し、土日祝日もしっかり休み、出社する社員はいません。これは社内の仕組みや体制が整い、また全体的に部下のスキルも上がってきているおかげです。退社後は、人と会ったり、ジムに通ったり、勉強をしたりと、人それぞれ有効な時間の使い方ができるようになってきています。

実際には、いきなりこのような状況に達するのは難しく、いくつかのステップが必要になってくることでしょう。

“チームの仕事量を見える化”して、うまい具合に調節する

部下に気づかないうちにオーバーワークをさせてしまっている、といった状況を回避するには、まず“チームの仕事量を見える化”する必要があります。

見える化には、以下の三つの方法が有効です。

(1) ツールを利用する
(2) 空間をオープンにする
(3) 小さな会議を開く

(1)ツールを利用する

ツールについては、世間には多くのアプリケーションが存在しており、数多くの選択肢があります。選択のポイントとしては、「シンプルで使いやすい」「初期設定が簡単」「多くの人が使っている汎用的なもの」といったことが挙げられます。

例えば、スケジュール情報であればGoogleカレンダー、勤怠情報であればExcelで作ったタイムシート、日報・タスク情報は日常利用しているメーラー、で十分だと思います。

(2) 空間をオープンにする

また、オフィス空間を適度にオープンにし、部下の負荷状況や顔色を察することができるようにしておきます。仕事の合間の少しの時間だけでも人が素になれるようなコーヒーやお茶菓子などが置かれた、ちょっとした交流スペースを設けるのも一つの手です。

(3) 小さな会議を開く

そして、上記のツールやオープン空間からは察することができないことについては、小さな会議を開くことが有効です。部下がいま何をしていて、何に困っているか、といったことについて、直接自分の言葉で話してもらいます。そうした部下とのコミュニケーションでは、話の内容だけでなく、その時の声のトーンや表情などに、今の心の中を表す多くのヒントが隠されています。

こういった“見える化”の取り組みによって、適切な人に、適切なタイミングで、適切な量の仕事を、うまい具合で振り分けしやすくなります。それによって特定の部下のオーバーワークを防ぐだけでなく、結果としてチーム全体の生産性の向上にも大いに寄与することになるのです。

Profile
岡田充弘 おかだみつひろ
カナリア株式会社 代表取締役
日本電信電話、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングを経て、カナリアの前身である甲南エレクトロニクスにマネージングディレクターとして参画。事業再編、ブランド構築、プロセス改革、ワークスタイル改革、オフィス改革など、短期間に多くの改革を断行し、創業以来最高の業績を達成。その後も2ケタ営業利益率を連続達成し、製造業屈指の高収益企業へと導く。
カナリアへの商号変更と同時に代表取締役に就任し、リモート撮影装置のトップメーカーとして世界進出を目指す。
その他、企業再生の経験をもとに、インターネットを活用した中小企業への経営指導や、チーム・個人の知的生産性の向上をテーマとした講演・執筆活動を精力的に行っている。
■Web:http://www.canaria-net.co.jp/
■Blog:http://ameblo.jp/konanele/
■Twitter:http://twitter.com/Mitsuhiro_Okada
■Mail: okada@canaria-net.co.jp

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