休日出勤をすれば、休日手当は必ず出る?

会社が休みの日に出社したのに、「休日労働」にならない?

イラスト1 会社が休みである土曜日に出社することにした岡本君。それなのに、長島課長からは休日手当なんか出ないと言われてしまいました。
そこで、そもそもこの場合の「休日」とは、どのような日をいうのか確認してみましょう。  

例えば、岡本君が勤務する赤羽橋食品の就業規則では、「1.毎週土曜日・日曜日、2.国民の祝祭日、3.夏期休暇、4.年末年始休暇」が休日であると定めています。

労働基準法では、労働者に対して「毎週1日」または「4週間に4日」の休日を与えなければならないと定めており、この「休日」を「法定休日」と呼んでいます。赤羽橋食品は毎週土・日曜日が休みの、週休2日制をとっています。そのうちの1日は、この「法定休日」に当たりますが、もう1日の休みは会社が定めた休日であって「法定休日」には該当せず、「所定休日」と呼んで区別されます。この違いを、知っておく必要があります。
もちろん、「法定」であれ「所定」であれ、「休日出勤」をしたことには違いありません。

さらにくわしく...労働基準法では、休日について特定することまでは求めていません。
しかし、働く側からすると、「毎週1日」または「4週間に4日」の休日がいったいいつなのか具体的に決まっていないと、ちょっと不便ですね。
土日が一斉に休みの会社ならともかく、シフト制で月ごとに休日が決まる会社の場合には、自社の就業規則に休日がどのように定められているか確かめておくとよいでしょう。

「法定休日」と「所定休日」では手当の額は異なるのか?

イラスト2どうやら「法定」「所定」の違いに、長島課長の言うところの意味が隠れていそうです。
休日出勤をした場合、労働基準法では、「3割5分以上」の率で計算した割増賃金の支払いが必要であるとしています。ただし、これは「法定休日」に働いた場合に限ります。
岡本君は土曜日に休日出勤をしましたが、翌日の日曜日に休めるのであれば、「1週間に1日」の法定休日が確保されます。したがって、土曜日は「所定休日」での労働となるため、3割5分以上の率で計算した割増賃金の支払いは不要となり、「休日手当は出ない」という長島課長の言葉に誤りはなかったのです。

しかし、岡本君が月曜日から金曜日まで普通に働いた上で土曜日も出勤したとなると、一つ問題があります。
赤羽橋食品の1日の労働時間が8時間とした場合、その週にまったく残業をしなかったとしても、金曜日に仕事を終えたときには、すでに1週間の労働時間が40時間(8時間×5日)になり、「1週40時間」という制限(法定労働時間)に達しています。ということは、土曜日に仕事を始めた時点で週の労働時間が40時間を超えることになり、その時間は時間外労働に当たります。
したがって、この場合、休日労働に関する割増賃金は不要であっても、時間外労働を行ったことに対する「2割5分以上」の率で計算した割増賃金の支払いが必要になるのです。

岡本君の給料の1時間単価を1000円とした場合、土曜日に8時間働いたとすると、時間外手当を含めて「1000円×1.25×8時間=1万円」の賃金を支払う必要があります。
このように、今回の赤羽橋食品のケースでは、「休日手当」という名目では手当がつかないものの、土曜日に働いた分に関しては時間外労働についての割増賃金がつく形となります。

 

さらにくわしく...労働基準法では毎週1日または4週4日以上の休日を与えることとしていますので、「海の日」などの国民の祝日に休ませなくても法違反にはなりません。
労働基準法にいう「休日」とは、単に連続24時間の休業であるのではなく、午前0時から午後12時までの暦日単位の休業をいうものとされています。

休日出勤の際に、残業や深夜業をしたらどうなるのだろう?

イラスト3法定休日に労働し、その時間が、会社の通常の勤務時間を超えたり、深夜の時間帯(午後10時から翌日午前5時まで)に及んだりした場合は、どうなるのでしょう。

例えば、前述のように岡本君の給料の1時間単価を1000円とした場合、岡本君が土曜日に続いて日曜日も出勤し、法定休日である日曜日の午前10時~午後3時まで休憩なしで5時間働いたとすると、日曜日の賃金は、「1000円×1.35×5時間=6750円」となります。

では、法定休日である日曜日に、午前9時から午後11時まで(昼休み1時間)働いた場合はどうでしょう。
まず、法定休日労働については、はじめから「3割5分以上」の率で割増賃金を計算することになっており、「時間外労働」という考え方はしないということを押さえておきます。時間外労働が時間の長さを基準にしているのに対し、休日労働は深夜に及んだ場合を除いて、日を基準に計算するのです。この場合、午前9時から午後10時までの実働12時間については「1000円×1.35×12時間=1万6200円」となります。
かたや、午後10時から11時までの深夜残業については、休日労働とは関係なく深夜割増の支払いが必要です。したがって、3割5分の割増率にさらに2割5分がプラスされ(第5回参照)、「1000円×1.6×1時間=1600円」となり、この日の賃金は、「1万6200円+1600円=1万7800円」となります。

さらにくわしく...今回、岡本君の土曜日における休日出勤については、前述のとおり法定休日の労働ではないため、週40時間の法定労働時間を超えた分に対して「2割5分以上」の割増率で計算すれば、労働基準法上問題ありません。
しかし、この時間が深夜の時間帯に及んだ場合には、さらに深夜割増分の2割5分がプラスされますので、「5割以上」の割増率で計算することが必要となります。

なお、この率は、あくまでも労働基準法で定めている最低ラインです。会社の就業規則や給与規程で、これを上回る別の定めがある場合には、会社の規程に基づいて計算をすることになります。

監修者プロフィール プロフィール写真
望月 由佳(もちづき ゆか)
特定社会保険労務士 社会保険労務士 望月由佳事務所 代表
平成2年10月 社会保険労務士資格取得
平成7年9月 社会保険労務士望月由佳事務所設立
労働保険・社会保険関係業務全般の手続き業務やコンサルティング業務のほか、研修会・講習会での講師も務める。
著書・執筆『労務・社会保険コンパクトブック』(TAC出版)、『年金ミラクルガイド』(同、共著)、「ビジネスガイド」、開業社会保険労務士専門誌「SR」、社会保険労務士受験雑誌「社労士V」(以上、日本法令)ほか

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