[2013.09.13]

BOOK REVIEW『若者と労働』

濱口桂一郎 著
労働政策研究・研修機構 統括研究員
新書判/290頁/880円+税/中央公論新社

BOOK REVIEW人事パーソンへオススメの新刊



安倍内閣が策定した「日本再興戦略」を受けて、この秋から「多様な正社員」の普及・拡大に向けた有識者による議論がスタートした。動き出した正社員改革は、不安定な非正規雇用から安定雇用への移行拡大にどう寄与していくのか。そこに横たわるのが90年代の就職氷河期を契機として、非正規雇用の肥大化に拍車を掛けてきた若者雇用をめぐる問題だ。著者はその深層を、日本独特の「入社」の仕組みを軸に丹念に解きほぐしていく。

「ジョブ型」社会の欧米では、職業能力が未熟な若者の雇用問題がしばしば深刻化してきた一方、人に仕事を貼り付ける「メンバーシップ型」社会の日本では、雇用問題の焦点はもっぱら高コストの中高年層に当てられてきた。いま日本で起きている若者雇用の問題の背景には、バブル期以降の採用抑制のみにとどまらず、実践的職業教育が乏しい現状、相次ぐ雇用政策の失敗など数々の要因が複雑に絡み合う。そして昨今では、正規入社の門をくぐった若者たちを使い捨てにするブラック企業問題も大きく取りざたされている。

若者雇用問題が示すように、日本企業に定着してきた「メンバーシップ型」の雇用は大きな曲がり角を迎えている。一方、全面的な「ジョブ型」への移行は誰が見てもまだ現実性に乏しい。著者が提示する処方せんは、第三の類型としての「ジョブ型正社員」、職務や勤務場所、労働時間などが限定される無期雇用契約の働き方である。これからの正社員改革の行方と課題を的確につかむために、本書の示唆に触れることをお奨めしたい。





若者と労働

内容紹介
ブラック企業、限定正社員、非正規雇用…様々な議論の中で、もみくちゃにされる若者の労働問題。日本型雇用システムの特殊性とは?現在発生している軋みの根本原因は?労働政策に造詣の深い論客が雇用の「入口」に焦点を当てた決定版。感情論を捨て、ここから議論を始めよう。 

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