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[2011.06.27]

賞与にも非常時払いの制度は適用されますか?


A 賞与が賃金と解される場合は適用されます。

1.非常時払い

労働基準法第25条では、次の場合、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならないとしています。

①労働者の収入によって生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害をうけた場合
②労働者又はその収入によって生計を維持する者が結婚し、又は死亡した場合
③労働者又はその収入によって生計を維持する者がやむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合

この規定はあくまでも不時の出費を必要とするような事態が起きた場合に、例外的に「既往の労働」に対する賃金の繰り上げ支払いを義務付けているものであり、前借りを認めるという趣旨でないことに注意しておく必要があります。また、この3つは、例示ではなく限定列挙と考えられますので、このほかの理由で従業員から要求を受けた場合は、非常時払いの義務はありません。
そもそも、労働基準法では賃金の支払いについて、使用者に対して、毎月払い、一定期日払いを義務付けていますが、非常時払いの規定はその例外といえます。

2.非常時払いをすべき賃金と支払時期

労働基準法第25条では、非常時払いの対象範囲として「既往の労働に対する賃金」と規定しています。これはすでに労務提供が行われた範囲の賃金について、使用者が給付(非常時払い)を行うことを義務付けていると言う意味です。賃金の種類は問われていないので、賞与もすでに労務提供が行われた範囲が、非常時払いの対象になると解されます。「既往」とは、通常は請求のとき以前を指し、使用者は就業規則等において特約がない限り、まだ労務の提供がなされていない期間に対する賃金までを支払う義務はありません。

また、既往の労働に対する賃金額の計算は、日割り計算を行い、算定するのが一般的と思われ、労働者からの請求が既往の労働に対する賃金の一部である場合には、労働者の請求の範囲を支払えば足ります。ちなみに非常時払いにおける賃金の支払いについても、24条1項に定める通貨払いの原則、直接払いの原則、全額払いの原則は適用されます。

労働者からの請求があった場合に、どの程度の期間内に支払うのかについてですが、「非常時」という性質上、当然遅滞なく支払われるべきであり、これに違反した使用者は30万円以下の罰金に処せられます。また、非常時払いに応じず、あるいは請求から相当時間が経過した後に支払われたような場合で、労働者に損害が生じた場合には、不法行為による損害賠償責任を負うことにもなりますので、注意しておく必要があります。

回答者 益田浩一郎 社会保険労務士(益田社会保険労務士事務所 代表)

禁無断転載
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