これからの日本企業の生きる道【前川孝雄】
増永寛之さん(株式会社ライブレボリューション 代表取締役社長 )
[2011.10.05]

人を部品のように扱う風潮に、私は違和感を覚えるのです:新しい日本企業の大家族主義(1/2)~ライブレボリューション増永寛之社長インタビュー~


人づくり、組織づくりの達人に聞く これからの日本企業の生きる道(25)
新しい日本企業の大家族主義(1)

株式会社FeelWorks代表取締役 前川孝雄

ライブレボリューション 増永寛之社長編

株式会社ライブレボリューション代表取締役社長の増永寛之さんインタビュー。今回は、経営者と社員の「信用」についてうかがいました。「宇宙一愛される企業」を標榜し、「メンバー第一主義、顧客第二主義」「メンバー相互で決める民主的な給与体系」「サービス残業、ノルマ、競争なし」など特色ある経営手法で知られる増永さんの考える、「これからの日本企業の生きる道」とは?

■人を部品のように扱う風潮に、私は違和感を覚えるのです

——増永社長は、現在の日本の企業社会についてどこに問題があると感じていらっしゃいますか?

古き良き日本の会社では、経営者と社員の間には「雇う」「雇われる」というだけでない関係性があり、「大家族主義」という言葉に象徴されるような絆が結ばれていました。現在の企業社会ではこうした絆が失われ、企業経営者が「人件費をいかに安くして利益を上げるか」という思考に陥ってしまっているように思います。

日本の経済成長が鈍化しているということは、企業にとっては社会の追い風がなくなっていることを意味します。今はむしろ、逆風の中で経営しなくてはならない状況にあるといえるでしょう。このような環境下で、正社員を減らして非正規社員を増やしたり業務をアウトソースしたりして、人件費を変動費にする欧米的な経営手法がよしとされがちです。「社員にたくさん給料を払いたい」「社員が子どもを持ち、生活していくことを支えたい」と思っている経営者は、多数派とは言えないように思います。しかし、人を人とも思わず部品のように扱う風潮に、私は違和感を覚えているんです。

こうした風潮を背景に、メディアは若者に「会社を信用せず、一人で生きて行ける力をつけるべきだ」というメッセージを送っています。実際に今の若者は、親がリストラに遭うなど、働く人が会社から裏切られる姿を見せつけられていますから、こうしたメッセージが刺さるのでしょう。

しかし、人間は本来、社会的動物です。「会社なんて信用するものではない」と考えるのではなく、「どうすれば会社と個人が信頼関係を構築し、絆を深められるか」を、企業と個人が相互に考えるべきだと思います。

——私自身は、増永社長の意見にまったく同感です。しかし、立場の違う人同士の絆を大切にする視点で「古き良き日本企業の大家族主義」と言っても、「今の世の中で、そんな甘い考えでは企業経営はできない」「懐古主義はダメだ」という意見を聞くことも少なくありません。増永社長は経営者として自社の業績を伸ばし、結果を出し続けていらっしゃいますが、実際の経営の場において信頼関係を築くことの重要性をどう分析していますか?

経営者が社員のためを思い、社員が会社のみんなのためを思い、お互いをどう幸せにするかを考える「互恵」の精神こそが、「絆」であり「信頼」なのだと思います。そして、「互恵」の精神は大きなベクトルとなって強いチームワークを生むのです。ですから、相手を思いやって「平和」を目指せば、会社は長期的な繁栄に向かって進んでいけるのではないかと思っています。

この点、大切にしているのは、社員全員が統一的な価値観を持つことです。同じものを見た時に「いいよね」という人と「あまりよくない」という人がいると、けんかになりやすいですよね。価値観の対立は、争いを生むのです。ですから大前提として、「宇宙一愛される企業」という価値観を共有できる、争いを好まない人を採用することを重視しています。

価値観の統一は、経営効率を上げるという意味でも重要なんです。価値観が統一されていないと、同じ目標を掲げていても達成の仕方が異なる場合があります。また、極端な例を挙げれば、一定の売り上げをあげようと目標を立てた時、「犯罪はよくない」という人と「法を犯してでも目標を達成すべきだ」と考える人とでは、アプローチの仕方が変わるでしょう。社員同士で、同じ言葉でも解釈の仕方が違ってしまうといったことも起こり得ます。経営戦略がいかに素晴らしくても、価値観が統一されていないと、実行する場面でうまくいきません。

■希望が見出しにくい時代にあって大きな夢を抱く方法は?

——ご著書『宇宙一愛される経営』の中で、増永社長は「人は夢に謙虚すぎる」とおっしゃっていますが、希望が見出しにくい時代にあって大きな夢を抱くためのヒントはありますか?

人はもともと利己的なものですが、たとえ自分のためだけに働いていたとしても、真面目に働けば他人や社会のためになるものでもあります。そして、自分のために働くことで周囲に喜んでもらえるのと同様、人のために働いたことは自分のためになるんです。ビジネスとは、「他人のため」ということを考えていけば結果的に自分の幸せにつながっていくものなのだと思います。

特に若い人の場合、最初から大きな目標を持つのは難しいかもしれませんが、まずは目の前にある、今自分ができることを精いっぱいやることが大切です。自分のために給料を得ることを通じて、社会の役に立っていると実感し、充実感を得られて「人のために生きることが楽しい」と思えるようになれば、おのずと目標は見えてきます。働く中で目標が見つかったら、そこに思い切り打ち込めばいいのではないでしょうか。

増永寛之さんProfile
株式会社ライブレボリューション代表取締役社長
1974年生まれ。奈良県出身。1999年に早稲田大学大学院商学研究科を修了し、大和証券株式会社入社。2000年前後に盛り上がりを見せた渋谷“ビットバレー”に刺激を受け、2000年7月末に同社を退社。同年8月に株式会社ライブレボリューションを設立。スマートフォン・モバイル広告代理店事業を中心に同社を急成長させている。著書に『プレジデントビジョン 起業への情熱』『プレジデントビジョン 成功の方程式』(いずれもアーク出版)、『宇宙一愛される経営』(総合法令出版)、『仕事頭がよくなるアウトプット勉強法』(サンマーク出版)、『Twitter就活』(ダイヤモンド社)などがある。

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