コンサルタントが世界一やさしく教えるビジネス思考【太期健三郎】 [2011.07.20]

ロジカル・シンキングの基本①MECE(モレなくダブりなく):コンサルタントが世界一やさしく教えるビジネス思考(7)


コンサルタントが世界一やさしく教えるビジネス思考(7)
太期 健三郎 だいごけんざぶろう
ワークデザイン研究所 代表

MECEという言葉を聞いたことはありますか? Mutually Exclusive Collectively Exhaustiveの頭文字をとったもので、日本語に直訳すると「それぞれが重複することなく、全体としてはモレがない」という意味で、ミッシーもしくはミーシーと読みます。簡単に言えば「モレなくダブりなく」ということです。

論理的に考える基本的な思考技術として、MECEとロジックツリーの2つがあります。今回はMECE、次回はロジックツリーを説明します。

MECEという概念は「モレなくダブリがない」というシンプルな集合の概念です。

以下の4つの図を見ていただければ、一目瞭然でしょう。

具体例で説明しましょう。

①モレなし、ダブリなし

ある会社の社員を分類してみましょう。

男性社員、女性社員と2つのグループに分けると、モレもダブリもありません。

②モレなし、ダブリあり

年齢別に10代~20代、30代~40代、50代以上、若手社員、と4つのグループにすると、モレはありませんが、ダブリが発生してしまいます。

③モレあり、ダブリなし

「正社員」と「パート・アルバイト」の2つのグループに分けると、ダブリはありませんが、契約社員、派遣社員などのモレが発生してしまいます。

④モレあり、ダブリあり

「正社員」と「本社勤務の社員」という2つのグループに分けると、本社以外(支社、工場など)で働く非正社員(契約社員、派遣社員など)はモレてしまい、本社勤務の正社員はダブってしまいます。

■ MECEが大切な3つの理由

では、論理的に考えるために、なぜMECEであることが重要なのでしょう?その理由を3つに整理して説明しましょう。

①モレがあると、適切な答えが得られません

②ダブリがあると、非効率になります

③全体を俯瞰し、優先順位を付けることができます

①モレがあると、適切な答えが得られません

ビジネスに限らず、問題を考えるうえで重要な視点や項目がモレていることは危険なことです。新商品の戦略を考える際、顧客と自社のことばかり考えて、競合企業の視点がモレていたら、的外れで中途半端なものになってしまうでしょう。

ある問題の解決策を考える際、有効なA案という方法を見落として、思いついたB案、C案、D案だけを比較検討してしまうことは少なくありません。

②ダブリがあると、非効率になります

ダブリは無駄を生み、効率を阻害します。例えば、同じ顧客に複数の営業所から営業マンが行けば、無駄な営業コストが発生しますし、お客さんも混乱するでしょう。銀行の大合併が続いた直後、道を隔てて同じ銀行の支店が並んでいる光景がよく見られました。これも非効率の典型例といえ、その後、支店の統廃合によって無駄が解消されました。

③MECEに考えることによって全体を俯瞰し、優先順位を付けることができます

MECEに考えること自体が目的ではありません。MECEで考えると、全体を俯瞰し、物事に優先順位を付けることができるのです。個人の持っているお金や時間も、企業が持っている経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)も無限ではありません。MECEに考えて、優先順位を付けて、適切なものに時間や経営資源を有効に配分することができるのです。

逆に言えば、MECEに整理した後、それらを網羅的に考え、実行するのではなく、優先順位を付けて選ぶことを忘れてはいけません。

■ MECEに考えるための有効な切り口を見つける

上記の③の理由で説明したように、MECEに考え、分類すること自体が目的ではなく、問題の原因、解決策などを整理して考えることが真の目的です。そのために、有効な切り口を見つけることが重要になります。

例えば、ある中学受験進学塾で成績の良い子と悪い子を分ける要因を見つけ、指導方針を考えるための参考にしたいというケースを考えてみましょう。

男女別に分析しても、在籍小学校別に分析しても傾向に大きな違いは出ませんでした。これは有効な切り口ではないといえます。

そして、予習を行っている時間別、復習を行っている時間別に分析すると、復習を行っている時間によって成績に大きな違いが出ていることがわかりました。それに対して、予習時間ではそれほどの違いはありませんでした。

また、科目別成績と全科目の成績を分析すると、国語の成績がよい生徒は全科目の成績もよいという傾向が出ました。

この場合、「復習時間」「科目別成績」という切り口で生徒の成績を分析したのは有効な切り口だといえます。

■ MECEを使うコツ&既存のフレームワークを使う

慣れるまで難しいかもしれませんが、MECEに考える習慣を持つことが大切です。最初はあまり神経質にならずにMECEであることを意識し、ダブリよりモレがないように意識しましょう。重要な項目、視点のモレは、ダブリが生まれるよりも致命的だからです。

また、既存のフレームワーク(枠組み、切り口)の多くはMECEなので知っておくと便利です。幾つか紹介しましょう。

【ビジネスで使われるMECEの例】

・事業分析の3C:Customer(市場)、Competitor(競合)、Company(自社)

・マーケティングの4P:Product:製品、Price:価格、Place:流通、Promotion:プロモーション

・経営資源:ヒト、モノ、カネ、情報

・企業を構成する要素7S:Strategy(戦略)、Structure(組織)、Systems(社内の仕組み、制度)、Style(経営スタイル)、Staff(人材)、Skills(社内のノウハウ、スキル)、Shared Value(価値観)

【ビジネス以外、生活で使われるMECEの例】

・人間の感情:喜怒哀楽

・物事、文章の展開の要素:起承転結

・文章の構成要素5W1H:When、Where、Who、What、Why、How

・生活の3要素:衣食住

次回は、MECEと併せて使うロジック・ツリーを説明します。

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